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ラッキー

最終更新: 2018年3月14日


ハリー・ディーン・スタントン主演の遺作と聞けば、見ないわけにはいかない。名わき役であったハリーは、自分のオールタイム・ベスト・シネマ第4位の映画「パリ・テキサス」に主演なのだから。


映画的記憶の中でのハリー・ディーン・スタントンといえば、「エイリアン」での猫のジョーンズを探している内にエイリアンの餌食になるあの小心者のブレットであったり、借金のカタに乗用車を取り上げる回収業者レポマンのバッドであった。でもハリーといえば、パリテキの放浪する記憶喪失者トラヴィスだ。イギリスのロックバンド、トラヴィスは、彼の名からとられたという。


「ラッキー」を観ると徐々に伝わってくるが、ハリーのために最後の花道を作ってあげたとしか思えない小品で、最晩年を変わらぬテンポで日々過ごすという他愛もないストーリーそのものや設定は違えども、こんなに俳優自身のことのように感じられる映画などそうそう作られることなどなく、そういう意味では、周りの人々に恵まれた彼はラッキーな人だったのだろう。タイトルからしてそうだ。生きながらにしてオマージュされてるようなもの。


話の途中、ラッキーがメキシカン・バンドの伴奏で歌うシーンが出てくる。その歌う歌詞の内容がまるで、「パリ・テキサス」で最後に離れ離れとなる妻・ジェーンへの恋慕のようにしかとれなかったり、様々なシーンで、過去の代表作やハリーが生きてきた人生を想起させる仕掛けとなっている。


そして、ハリーを好んで起用し続けてきた監督デヴィッド・リンチの俳優としての友情出演シーンが、意外と多くて楽しめる。巨匠が出ることで映画に箔をつけるというよりも長年世話になってきた老獪俳優への敬意ともとれた。


ラストシーンでのラッキーのある仕草で、ああ、これは、お別れを告げるための映画だったのだなと分かって、病を押して作ったのかもしれない……などと想像していたら、胸がキュンとなった。


パールジャムのエディ・ヴェダーが歌うアカデミー賞での故人の追悼コーナーでは、2番手にハリーの顔写真が投影されて、俳優としても長命であったし、リスペクトされているのだなと。


ラッキー

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